【K.A】Alice in a BoX
花達の勢いに圧倒され、ありすは思わずごめんなさいと謝った。

「あら。とても素直ね」

「いい娘じゃない」

「あ…あはは……」

この世界では何があっても不思議ではない。
何せ動物の耳をつけた変な男達がいて、花も喋る。

「あ!アリス!」

後ろから名前を呼ぶと、小屋にいた黒うさ耳の男がぎゅっと抱きついてきた。

「あら、役立たずが今頃帰ってきたわ」

「な…役立たずってどういうっていててててててて!」

黒うさ耳の男がばっとありすを抱きしめていた手を解き、突然叫びだした。
ありすはびっくりして振り返ると、そこには派手なシルクハットを被った美形のまるでホストのような格好をしたお兄さんが、黒耳をぎゅっと握って立っていた。

「アリスが目覚めたと聞いたが…俺はお前からその報告は受けていない。なぁ?クレスト」

にっこりと、冷たい目をしながら笑うそのお兄さんに、ありすはぞっと寒気を覚えた。

「ご、ごめんよマッド。俺、今帰ってきたところだったからさ」

そうクレストが言うと、マッドはぱっと掴んでいた手を離した。

「そうか。それならば仕方が無いか。では、お茶の時間だ。続きはお茶をしながら聞くとしよう」

マッドはそういうと、庭の中へと消えていった。

「アリス、行こう。マッドが待ってる」

そう言って、クレストはあっけに取られているありすの手を取って、マッドの後を追った。

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