復習
誰も居ない部屋。高濱は怒りの矛先の向ける場所が分からず、一人大声を上げてソファーに横たわる。親友と云う程では無いが、会社の同僚として親しくしていた間柄の男に家族を殺された。高濱は、その事実を受け止めようとするが、自分の気持の器から容易に溢れ出してしまう。会社で見せる顔と、正反対のもう一つの顔。人には、誰しも他人に見せない顔と云うものが有るが、石川のそれは常軌を逸している。別の人格。どう考えてもそれ以外には答えが見付からないが、人格が複数有ると云う事を認めると云う事は、精神の異常を認める事に成ってしまう。身を焦す程の殺意を消すには、石川の極刑以外には有り得ないと高濱は思う。だが、弁護士の言葉を聞いて要る限りでは、高濱の求めている求刑が下される可能性は限り無く低く、例え判決が下ったとしても、うんざりする程の時間を掛けた上で、精神的な事を考慮された場合は、減刑される事も十二分に考えられる。
―如何すれば良い?
 高濱の頭を過ぎるのは「如何すれば良いのか」と云う言葉と、それに答える結論は出ているが、決意と云う部分で高濱の心は揺れ動く。
「糞!」 
< 29 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop