†Dragon Guardian† ―EXTRA VOLUME―
◆ボクラの曖昧境界線
今でも正直良く分からな
いのよね、彼女にとって
の“私の立ち位置”が。




暑さでクソガキがギャア
ギャアわめき始めると、
有難いことに気を利かせ
た弥嘉ちゃんが飲み物の
調達を志願してくれた。

……本当に良い子よねぇ

そうして、半ば感心しつ
つもお言葉に甘えて水を
チョイス。これならカロ
リーを気にしなくても良
いし、何より味に当たり
外れがないんですもの。

だけどよく考えたら女の
子一人じゃ、4人分の飲み
物を持つのは相当キツイ
わよね?今からでも追い
かけようかしら……ん?

不意に列の外へ視線を向
けると、そこにはいかに
も柄の悪そうな男が3人。
奴らを目にするなりとて
つもなく嫌な予感がした
私は、至近距離にある人
だかりをぐいぐい押しの
け一目散に駆け出した。




     ***




久々の背負い投げも綺麗
に決まって一件落着……
と言いたいトコだけど、
端から見ればかなり目立
っていたらしく、ギャラ
リーがゾロゾロと集まり
正にてんやわんや状態。

しかも、流れでMIHARUに
ついても触れなきゃなら
なくて……いつもみたい
にかわそうとするけど流
石は弥嘉ちゃん、全てを
悟った上で深々と頭を下
げられちゃあ、話さない
訳にもいかないわよね?

それでも変に同情される
のは忍びなく、若干声を
震わせながら台詞を紡ぐ
けど、彼女の反応はあま
りに意表を突いていて。

そこで初めて無意識にも
あの子を舐めてかかって
いたことに気付き、酷く
恥ずかしいと思ったの。

ただでさえ私は、耀のよ
うに人懐っこくもなけれ
ばガキンチョのように四
六時中一緒にいられる訳
でもない。ましてや紗奈
恵のように幼い頃からの
親友でもないのだから、
今回の事で余計に距離を
置かれても仕方がないと
半分諦めかけていたわ。

それなのに、どこまでも
優しすぎるあの子はこん
なにも“中途半端”な私
を思い涙を流してくれて
いる。それだけで私の心
は随分と救われたのよ?

結局彼女の心に巣くう闇
が何なのかは分からなか
ったけど、たとえそれが
どれほど深かろうとも、
私は寄り添い続けると決
めたから。もしもあの子
が望むなら木陰にだって
なるつもり……ってちょ
っと健気すぎるかしら?




――確かな名前はないけ
れど、この曖昧な関係も
存外悪くないかもね――




   【The END】
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