蜜月 -love is blind-【BL】
『アイツに、何かされたのか?』


 神宮を驚かさないよう、そっと話し掛ける。

 俺にしがみつく腕が、きゅっ、と強くなった。


『……閉じ込められた……だけ、だから……』

『だけ、って、本当にそれだけか?』


 余りに弱々しい声に、その言葉が嘘じゃないかと思ってしまう。

 何かを俺に隠している。

 そう思えて仕方なかった。


 だけど、それ以上は何を聞いても答えてくれなかった。


 俺の肩口に埋められた顔。

 背中に感じる、温かい体温。


 俺に身体を預けてくれるように、もっと、俺に頼ってくれていいのに。

 もっと、感情をぶつけて欲しいのに。

 やっぱ俺って、信用無いんかな……。


 そりゃそうだろう。

 関係ないヤツ巻き込むようなバカなんだぜ?

 きっと神宮も俺のこと、呆れてるんだろうな……。


 そう思ったら。

 何だか無性に悲しくなってきた。
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