蜜月 -love is blind-【BL】
「何だよその目は。お前が生意気で先輩に対する礼儀ってもんを知らねぇのが悪いんじゃねーか!」


 睨み付ければ逆上した声で怒鳴り付けてくる。

 何なんだ、コイツは。


「……本当に、知ってんだろうな!?」


 問い掛けに、返事は無い。


 本当に、本当に。


 これが、嘘だったら――


 俺は、コイツを――


 どうしてしまうか、分からない。


「謝れよ」


 突き付けられる一言が、重くのし掛かってくる。

 謝れば、本当にそれで済むのか?


「お前が謝ったら教えてやるよ」


 ――くそっ。


「生意気ですみません、って。お世話になりました、って言えよ!」

「……っ!」


 なんでだよ。

 どうしてだよ。


 どうしてこんなヤツに、俺が謝らなきゃなんねぇんだ!

 意味が分かんねぇよ。

 つか、有り得ねぇよ。


 だけど……ッ。


 神宮が……!
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