飛べない鳥
俺は響の方を見る。


嬉しそうに笑う響が、
可愛く見えた。



『へぇ…』



『それでさ、帰り際にゲットしちゃったんだ!』



『先生を?』



『バーカ、ちげぇよ!』


響はカバンからごそごそと何かを取りだし始めた。


俺はその光景をずっと見ていた。


そして響が取り出したものを俺の目の前で見せてきた。



『何これ?』



響が取り出したものは携帯電話だった。


携帯の画面に、こう写し出されていた。



《佐藤先生 0900854…》



『佐藤先生の電話番号をゲットしたってわけ!』


自慢げに言う響を俺は冷たい目で見た。


俺の目の前にある響の携帯を手で退かした。


『これだけ?』



『すげぇだろ!!』


さっきより興奮している響だが、俺は全然凄いなどと思わない。


そんな会話をしている時、電車が駅に着いた。
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