飛べない鳥
『遥斗~??』


響の声が聞こえる。


俺はローファーを履き、
鍵をあけ、響の前に現れた。


『…はよ』


小さく俺は挨拶をする。


『珍しいな、お前がおはよって言うなんて』



『まぁな』



俺はちゃんと鍵を閉め、
重いカバンを持ち上げ、
唯のいる学校へと一歩踏み出した。



『遥斗!聞いてくれよ!』

響が興奮した声で突然言ってきた。


『…なんだよ?』



『昨日さ…』


みるみる内に、響の顔が真っ赤になっていく。


そのうち耳まで赤くなっていた。


『何?』


俺達は電車に乗り込む。


朝の電車は嫌いだ。


人混みが多いし、
息が上手く出来なくなる。

でもこの試練を乗り越えなければ唯には会えない。


俺は駅に着く5分間、
辛抱をした。



響が俺の耳元で囁いた。


『昨日偶然、先生に会ったんだ』
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