飛べない鳥
『なんか天気悪くなってきたね?教室戻ろうか?授業始まるしね』



『…そうだな、先戻れよ』


青い空が薄汚い雲で鮮やかな青色が隠れてしまっている。


もう少しだけ唯と居たかったが、そういう訳にはいかない。



授業があるし、話すことなどないからだ。



『遥斗は?』


『あとで行く、先に行け』


『じゃあね…』



『あぁ…』



唯がこの屋上から出ていってしまった。


俺は唯を止めることなく、そのまま見送った。



薄汚い雲は、この空を染めると同時に、俺の心も暗くした。



『…むかつく』



むかつく…むかつく…


自分の無力さにむかつく。

自分の気持ちに素直になって行動出来れば、俺は幸せものだろう。



一体この世界で恋をしている人は、どのように好きな人と接しているんだ?



教えてくれよ。
< 120 / 354 >

この作品をシェア

pagetop