飛べない鳥
『悪いな、ありがとな』



『別にいいって!
つか雨すげぇな!傘持ってきてねぇし』



『そうだな…俺もだ…』



俺はカレーを一口食べ、
さっきの唯との出来事を思い出していた。



『なぁ遥斗?さっき隣にいたヤツは菊地唯か??』


突然耳元で響に質問され、飲んでいた水が逆流しそうになった。



『…は?見てたわけ?』



『俺の視力をなめんなよ?』



怪しい笑みを浮かぶ響を見て、俺はここから抜け出したかった。



そのあとは、響の質問攻めにあったという事はあえて言わないでおこう。



食事を終えた俺達は、
教室に戻りのんびりと過ごしていた。



窓側で楽しく友達と会話する唯に目が止まった。



笑顔で話す唯を見ると、
さっきの悲しい瞳をした唯が嘘のようだ。



唯にはなにがあったのだろう?



もっと唯のことが知りたいと思ったんだ。
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