飛べない鳥
唯のことなど、唯に聞いてみなければ分からない。



今度唯に聞いてみよう、
手を差しのべる事は出来たんだ。


それよりもっと簡単だろ?


大丈夫だ、大丈夫。


俺は自分に言い聞かせていた。



──…午後の授業は勝手に過ぎていた。



響と帰ろうとしたが、
俺達は重要な事を思いだし、下駄箱に立ち往生していた。


『傘…ねぇよな?』


苦笑いをする響。


『当たり前だろ?朝あんなにも晴れてたんだからよ』

俺は眉間に皺を寄せ、
俺達の状況を無視するようなどしゃ降りの雨を睨んでいた。



『走るしかねぇな?』


響はにかっと笑い、
カバンを頭の上に持ち上げた。


そして全速力で走っていった。


仕方なく俺も、ゆっくりのペースであるが、このどしゃ降りの中走っていった。
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