飛べない鳥
『俺はお前よりバカじゃねぇし』



『はぁ~!!遥斗にいい情報あげようと思ったのになぁ~』



香織は俺が唯を好きなことを知っている。


そして香織は唯の友達だ。

何かあったらいろいろと教えてくれる、使えるヤツ。

って…香織は友達だから使えるとか言ってはダメだな。



『…なっ何だよ?』



『香織~俺にも教えて~』



『教えてくださいでしょ?』



『教えてください…』
『教えてください』



俺と響は同時に同じ言葉を発した。


そして香織は、近くにあった椅子を引っ張り出してきて、俺達に聞こえるように近付いた。



『あのね?毎日、校門の前に唯を迎えに来てる人がいるの』



囁くような小さな声で話す香織に、俺は耳を傾け真剣に聞いた。



『…どっどんなやつ?』



俺はごくんと生唾を飲んだ。


そして、香織の口がゆっくりと開いた。
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