飛べない鳥
響は下を向いたまま首を横に振った。



『俺…美幸になにかしたかな?嫌われるような…こと…したかな?』



途切れ途切れに話す響。


流れる涙のスピードも速くなっていく。



俺だけ幸せになってはいけない。

響にも幸せになって欲しい。

だって、響は俺の家族みたいなものだから。


いや、響は俺の家族だ。


家族が泣いているのに、ほっとくわけにはいかないだろ?


響には、幸せになってほしい。
俺をいつも支えてくれて、俺といつも一緒にいてくれて、
こんな最高の友達を、家族を、ほっとくわけにはいかない。



『響、待ってろ』



俺は響にこう言い、屋上から勢いよく飛び出した。



『唯、響を頼む!!』


唯に響を頼み、俺は階段を駆け下りる。



待ってろ、響。



俺は廊下をひたすら走る。
誰かを捜して。




『先生!!』
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