飛べない鳥
すると響は急に立ち上がり、空に向かって叫んだ。



『待ってろよ!美幸!!
ぜってぇもう一回お前を振り向かせてやるから!!』


その後、響は最高の笑顔を見せたんだ。



響、お前の涙…すげぇ綺麗だ。



人間の涙は、とても…とても…綺麗なことを俺は忘れていたようだ。


いつか、俺も綺麗な滴が、流れたらいいのに──……


気付いたら一時間目はとっくに始まっていたが、俺と響と唯は、一時間目はサボり、寝転んで空を眺めていた。



三人共、違う気持ちで空をずっと眺めていた。



俺はもちろん唯のことだ。

唯のサラサラな髪も、長い睫も、全部が愛しいと思うんだ…




でも…俺はこの世界に嫌われていた─…




俺は、一人の女性を愛してはいけないの?



やっぱり…俺は飛べない鳥なんだ─…
< 289 / 354 >

この作品をシェア

pagetop