飛べない鳥
空ってさ、やっぱすげぇ力があると思うんだ。


ただ見上げるだけで、
つまらないと思っていた世界が、輝いてみえる。


空を見上げるだけで、
自分の心や体が綺麗になっていくと思うのは俺だけか?



いや、違うよな。


さっきまで泣き叫んでいた響が、俺の隣で笑っている。


お前も俺と同じことを思ってるんだろ?



『俺、美幸を今すぐ忘れることなんか出来ねぇな…』


響は笑顔を溢しながら、地面を向いて小さく呟いた。


そんな姿をした響を俺は横目で見ながら、瞳に写る景色を空に変えた。



『そうだな…無理矢理忘れたって意味ねぇだろ?』



『ずっと…想っててもいいよな?』



『当たり前だろ?
ずっと好きでいろよ。
誰を想おうが人の勝手だろ?』



俺がこう言うと響は頷いて、一粒の滴を指先で拭っていた。
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