飛べない鳥
この部屋の床は冷たい。


ひんやりと伝わる、床の温度。


俺は唄を聞きながら、
目を閉じ、夢の世界に移り変わった。



───…………



『──…遥斗…』


『なぁにママ??』



あなたは…誰?



『遥斗…ママの事好き?』


ママ?あなたが俺の母親?

顔が思い出せない…


顔が見えない…



『うん!僕ママだぁいすき!』


小さい頃の俺が、
こう母親という人物に笑顔を向けて言うと、
母親は、俺のおでこに優しくキスをしてくれた。



『ママも遥斗が大好きよ…』



でもあなたは俺を捨てた。

ゴミを捨てるように、
人間の俺を捨てた─…


俺はゴミなんかじゃない───………



『──…斗…遥斗…?』



誰かに呼ばれている気がした。


俺は俺を呼んでいる人を確かめるため、閉じていた目を開けた。
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