星の唄

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トセ様の涙。

その中に紛れて…
黒くて重たい固まりがひとつ。

誰も気付いていなかった。


トナル達が増えた頃。


ロノには…
テオには…
たくさんの幸せと夢が広がっていた。

その中で1人のトナルは、その黒くて重たい固まりに気が付いた。
気付いたトナルはその固まりを拾い上げた。


その瞬間。

トナルは黒い固まりに包まれてしまった。


トナルの中にヤムが生まれた。

憎むこと
嫌うこと
苦しむこと

優しい気持ちの中に、哀しい気持ちが生まれた。

それを見たトセ様も、
シアもツヒルイも哀しくなった。

ロノはヤムに包まれていった。


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――『星の唄』第五章より


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