星の唄
結衣が目を覚ますとそこは結衣の部屋ではなかった。
広い部屋にたくさんのベッドが並べられ、その数だけ生徒たちが寝ている。
ベッド以外は何もなく、広くて白い何もない部屋。
白衣を着た男性や女性が起きた生徒の体調を見ていた。
見られる生徒たちは不思議そうな顔をしている。
「心配かけやがって…。」
聞き覚えのある声に振り返ると、結樹がいた。
後ろにはソラもいる。
ソラは元気がないように見えた。
「何か…あったの…?」
周りの様子から見てもただ事ではない。
先程の夢に現れたソラの様子も変だった。
「…結衣、向こうで話そう。」
結樹の笑顔もいつもとは少し違っていた。
寝ている間に何が起きたんだろう?
結衣は解らないまま、結樹とソラに連れられ部屋を跡にした…。
*
案内された部屋はとてもシンプルだった。
ベッドに机だけで、色も白や黒、シルバーなど色味がないものばかり。
唯一色があるとすれば、観葉植物と星の唄のような時計だけだろう。
「ここは…?」
「ん?あぁ、コイツの部屋。」
「何にもないけどね。待ってて、今お茶入れるから。」
結樹が¨コイツ¨と言って指したのはソラだった。
…というよりこの場には他にいない。
前に案内された本がたくさんあるソラの部屋とは雰囲気が全然違っていた。