星の唄
「昔、結衣ちゃんの家で二人で星を見てたんだ。」
一瞬。
結衣は、夢の中でソラと呼んでいた蒼い髪の青年を思い出した。
「あの時、結衣ちゃんに言われたんだよ。『見れない子がいるんでしょ?じゃ、たくさん見ないとね』って。」
「あ……。」
「その顔は思い出してたかな?…あれがキッカケで¨星のかけら¨を作ったんだ。」
奏空は嬉しそうに笑って言った。
結衣の中で、夢の中のソラと奏空が重なった。
やはりあの青年は奏空だったのだ。
あの時話していた大切な人が奏なのだろう。
「あの後、結衣ちゃんの事と¨星のかけら¨の話を眠っている奏にしたんだ。いつか奏にあげるよって。ちゃんと聴いてたんだな…。」
奏空は奏に目を落とした。
ここまでの話を聴いて、結衣は一つ納得が行かないことがある。
「どうして奏さんは目を覚まさないの?」
「どうしてって…?」
「だって…。」
結衣は途中で話すのを止めた。
夢の中で出会った奏は奏空が来るのを知って姿を消した。
それは結衣だけが知っている事で、言えば奏空が傷つくかもしれない。
そう考えてしまったから続きは言えなくなってしまった。
「だって…?」