星の唄


誰にも聴けなかった。
なぜ二人がこんなものを考えて、作ったのか、誰も奏空に話してはくれなかった。

もちろん楓に聴いたこともあった。
楓の答えは「自分で答えを見つけなさい。」だった。


その時¨星の唄¨を聴いた。


遠い昔のお伽話。
それを簡単にして奏空に話してくれた。
それは昔、奏空が小さな時に満月が話してくれた話にもよく似ていた。
もちろん奏空は¨星の唄¨をすぐに好きになった。


それでも…解らなかった。

なぜなんだろう?
ずっと、奏空は考えていた。


その上、残されたたった一人の家族である奏も被験者になり、そのまま眠り続けてしまった。
こんなプロジェクトもプログラムも、止めてしまおうと何度も何度も思っていた。


「母さんと父さんは何でこんなもの作ったの…?」


ずっと理由を聴きたかった。
ずっと理由を知りたかった。

ここにいる満月も、先程の楓のように透けていた。
プログラムだと言うことも解っていた。

それでも、今度は答えがある…奏空はそう思っていた…。


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