【短編】今夜、きみと最後のキスを
中庭に向かうドアにサッカーボールを転がしている俊太くんがいた。


俊太くんと会うのは、きつく言い過ぎたあの時以来。


俊太くんもあの時のことを思い出したのか、なんだかぎこちない。


いつもなら“里佳ねーちゃん!”って明るく来てくれるのに。



「し、俊太くん、あのね……」

「!!」


また怒られると思ったのか、一瞬体をこわばらせた俊太くんはくるっと踵を返して中庭に向かって走り出した。



「ちょっ、待って! 俊太くん!」

あたしも慌てて俊太くんの後を追いかけた。

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