Ghost Lovers
終いには足の力や腕の力が抜けて、
その場に立っていられなくなった。
――どうしてこんな、突然?
「あ…あ、あれ…ぇ…?」
そのまま、視界が霞んだ。
目の前が揺らめいて、ぐるぐると回る。
「貴方は…”見えている”のだね…。」
声が、頭の中で響いた。
全身の力が抜けて、ガクッと膝から倒れこむ。
遠のく意識と、見えなくなる視界の中で
男性の笑顔が見えた。
その笑顔が―――歪む。
(この人…人間じゃ、ない…?)
気がついたときは時すでに遅し。
私は何もできないまま、ゆっくりと近づいてくるように見える手を
振り払うことさえできない。
凜の言葉が、今更蘇った。