Ghost Lovers



――何だろう?



ふわふわしているようで…固い毛。
時折、振動が伝わってくる。
風を切る音が聞こえた。

…私、今どこにいるんだろう?


意識が中々定まらない。
とりあえず私が八倉小町であることは分かるんだけど…
私、町に行ってどうなった―――?


そうだ。

凜の忠告も忘れて、怖い妖怪に襲われたんだ。
そして食べられそうになって、もう駄目だと思った。
だったら――ここは、その妖怪の中?


そのとき、大きな振動に揺さぶられて
思わずバチッと双眼を見開く。



「え…?」



私の視界に飛び込んできたのは、
真っ暗闇の胃の中、などではなくて
おぞましい雰囲気を漂わせた、”あの”森だった。

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