Ghost Lovers
案の定シーンと静まり返った空間。
ステンドグラスの窓の外を見れば、
先ほどよりも雨足は強くなっていて
時折ピカッ!と雷鳴が轟く。
「う~…やっぱりここは無理…!」
自分の部屋にいるとそこまで恐怖は湧かなかったが
この玄関ホールは禍々しい妖気に満ちていた。
暗いのに、稲光で激しく見える傾いた肖像画。
誰もいないのに、1階からギィイイィ…と扉の開く音が聞こえる。
凜の気配を探しても、彼はどこにも見当たらない。
「どこ行ったのよ~~…っ」
ほうきを持つ手が震える。
ただでさえ、雷は嫌いだ。
なのにこの雰囲気とマッチして…倍以上にホラー。
「そ…掃除だ掃除!」
まずは目にとまった中央玄関の扉を拭く。
重々しくて、荘厳な扉。
両開きの大きめなそれは、あの世とこの世の境目のようだ。