花の家
「お、おい、泣いてんじゃないだろうな……落ち着けよ、な?」

 肩を震わせる香里の様子に、鈴はうろたえた。

それを横目で見て、朝蜘が低く舌打ちする。

「今更、隠したところで仕方がないだろう。不安を煽るだけだ」

 分かりきったことを言わせるな、という様子の朝蜘に多郎も黙る。

納得していない顔ではあったが、邪魔をする気もないらしい。

「さて、何から話すべきか……」

 朝蜘は思案げに、またメガネの縁を指で押し上げた。


 何せ長い話だぞ、それが語り始めだった。

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