歌って聞かせてよ。
第5章 気になる。
あれから私達の関係は、日に日に仲良くなっていった。


「桃っ!今日母さん来るらしい。」


「そうなんだっ!よかったね!!」



いつも家族の話をするとお母さんはウザイなどといっている光輝君だけど、なんだかんだ言って、嬉しいんだよね。



少しテンションがいつもより高い光輝君を見つめてると、私もだんだん嬉しくなってきた。



「母さん、おっせぇな。」


「ほんとだね…。何時ぐらいに来るって言ってたの?」


「2時くらいっつってたんだけど…。」




心配そうに時計を見つめる光輝君。


今、もう3時になっている。




「さすがに遅いよね…。でも、なんか忘れ物して、家に取りに帰ってるだけかもしれないよ?」


「ん…かもな。」

少し光輝君の心配そうな顔は和らいだ。


「光輝君?今日は診察日よ?保険証提出した??」

看護師さんが顔を覗かせていた。



「あ!やべっ。忘れてた!桃っ!母さん来たら保険証提出しに行ってるって言っといて!」


「え?一緒についてくよ。」


「だって、母さん、俺がいなかったら焦るだろーし…。」


家族思いだね、光輝君は。

優しい人だから当たり前か。



「だったら、私が提出しに行くから光輝君はここにいて。」


むりやり保険証をもらうと、私は笑顔で病室をでた。
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