愚者
小夜子が遠巻きに葵を元気付け様とするのが分かり、葵は素直に小夜子の優しさに甘える事にした。何事にも揺るがない小夜子の強さ。その強さを、本当に少しだけでも良いので見習いたいと葵は本心から思う。もっと色々と話したい。小夜子の事を知りたいと思い、勇気を振り絞って話し出そうとすると、事務所のドアが開き、老婆が「お時間ですよ」と小夜子に伝え、小夜子は「分かったよ」と答える。
「もっと色々と話したいけど、この施設の方針で面会時間が決まっているんだよ」
「そうなんだ……」
「明日には学校へ行くから、その時は何時もの場所で話そうじゃないか」
「屋上よね?」
「そうだよ。気分転換にも成るしね。酷い状態の教室で食事をしても美味しくないからね」
「うん」
「じゃあ、外迄送るよ」
「大丈夫だよ。それに、まだ風邪が治ったばかりでしょ?念の為に寝た方が良いよ」
「珍しいね、自分の意志をちゃんと伝えるなんて。じゃあ、お言葉に甘えてそうさせて貰うよ」
< 167 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop