愚者
「しかし、和さんも気を付けた方が良いね」
「ああ」
「下手に動くと不味いと思う。これは私の直感だけど、若しも対立する様な事が有るのなら、手加減をせずに潰すしか生き残る方法は無いだろうね」
「そうやと思う。やけど、その潰した場所がトカゲの尻尾の可能性も有るけどな」
「確かにね……」
 厄介な問題だ。仕事柄リスクが付き物だと常々云ってはいたが、今回の案件はかなり危険な臭いがする。腐臭とでも云うのか、人間の一番汚い部分を垣間見る事に成る気がする。
「なあ、時雨……」
「何かな?」
「一つ質問しても構わんか?」
「ああ」
「この世で一番怖い物は何やと思う?」
 私は関の問い掛けに逡巡する。難しい質問だ。物理的な物から精神的な物迄踏まえると恐ろしく広い範囲で捉える事が出来るし、一概にこれだと云う物は分からない。私が考え込んでいると、関が俯き加減で喋り出した。
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