愚者
カウンターの中。私は手際良くオーダーの準備をしていると、富田が呆れ顔で二人に視線を走らせる。
「お前さん達、学校はどうした?」
「行き成り失礼だね。大人だからと云って高圧的な態度は感心しないよ」
小夜子がピシャリと云い放つと、富田は豪快に笑い声を上げる。
「そりゃすまなかったな。仕事の癖でな、別に他意は無い」
「仕事?」
「仕事柄こう云う物云いが癖なんだ」
「そんな事は僕の知った事じゃ無い。それに、その辺りは人間性の問題だね」
「手痛い事を云うな」
「お互い様って事だよ」
「そう成るかな」
大人と対等に会話をする小夜子にも驚くが、何よりもその態度の小夜子に苦言をするでも無く、同じ目線で対応している富田の意外な懐の深さに驚きを覚える。横暴な態度だけでは無いと云う事だろう。
「改めて名乗ろう。富田重明で現職の刑事だ。先程は失礼したね」
「僕は宇都宮小夜子。そして、僕の友達の笠原葵君だ」
互いに満足げな顔で頷く。無駄の無い会話だ。私はカウンターから出て二人のテーブルにココアと紅茶を出してカウンターに戻る。異色な取り合わせだ。珍妙と云っても良い。
「だけど、担任の急激な態度の変化には、少し驚きを覚えるね」
「うん」
「意図的な悪意すらも感じるんだけど、葵君はどう思うんだい?」
「私もそう思うんだけど……」
「今の所は大きな問題に発展する気配は無いけれど、何時迄も放って置いて良い問題では無いからね」
小夜子達二人の会話の流れを察するに、恐らく先日からの問題なのだろう。私はカウンターで薄くBGMを流して静観を決め込んでいると、富田が不意に立ち上がり、二人の席へと灰皿を片手に歩いて行った。
「お前さん達、学校はどうした?」
「行き成り失礼だね。大人だからと云って高圧的な態度は感心しないよ」
小夜子がピシャリと云い放つと、富田は豪快に笑い声を上げる。
「そりゃすまなかったな。仕事の癖でな、別に他意は無い」
「仕事?」
「仕事柄こう云う物云いが癖なんだ」
「そんな事は僕の知った事じゃ無い。それに、その辺りは人間性の問題だね」
「手痛い事を云うな」
「お互い様って事だよ」
「そう成るかな」
大人と対等に会話をする小夜子にも驚くが、何よりもその態度の小夜子に苦言をするでも無く、同じ目線で対応している富田の意外な懐の深さに驚きを覚える。横暴な態度だけでは無いと云う事だろう。
「改めて名乗ろう。富田重明で現職の刑事だ。先程は失礼したね」
「僕は宇都宮小夜子。そして、僕の友達の笠原葵君だ」
互いに満足げな顔で頷く。無駄の無い会話だ。私はカウンターから出て二人のテーブルにココアと紅茶を出してカウンターに戻る。異色な取り合わせだ。珍妙と云っても良い。
「だけど、担任の急激な態度の変化には、少し驚きを覚えるね」
「うん」
「意図的な悪意すらも感じるんだけど、葵君はどう思うんだい?」
「私もそう思うんだけど……」
「今の所は大きな問題に発展する気配は無いけれど、何時迄も放って置いて良い問題では無いからね」
小夜子達二人の会話の流れを察するに、恐らく先日からの問題なのだろう。私はカウンターで薄くBGMを流して静観を決め込んでいると、富田が不意に立ち上がり、二人の席へと灰皿を片手に歩いて行った。