愚者
目覚ましがベッドの上で爆音を鳴り響かせる。私は布団から手を出して目覚し時計を止める。昨夜は関と思いの他色々な話をした為に身体が惰眠を貪る事を求めている。だが、店を任されている限りは適当にする訳にはいかない。サラリーマンならば、風邪を引いただとか適当な事を云って仕事を休む事も可能だが、個人事業の、しかも接客業と成るとそう云う訳にも行かない。不定期過ぎる休みは、現在保有している顧客の信用を落とし、結果、店の売上に響き経営の基盤に打撃を与える。日曜日を開けている時は本当の意味での気紛れで、それ以外では休む事は無い様にしている。私が働いている店は、大手のフランチャイズ加盟店でも無ければ、潤沢な資金が有る、所謂放蕩息子と云う訳では無い。私は、過去を捨て今の安定した生活を手に入れているだけだ。
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