愚者
私は小夜子達との遣り取りで見せた富田の意外な一面を関に話して聞かせる。富田のスタイルはある意味共感出来る部分もある。恐らく、富田にも色々な背景があり、その上であのスタイルに落ち着いたと云うのが正しいのだろう。歪んではいるが、正義と云う視点で見た場合、絶対に非難出来るかと云うと微妙な所だ。完璧な正義と云う定義自体が時代背景で移ろうのであれば、偶然富田が持ち合わせた正義感が今の時代背景にマッチして無いだけで、本質と云うか、二元論で見れば正義と云う属性に成る筈だ。私はその辺りも踏まえて関に説明をすると、関は僅かに逡巡をした後、ゆっくりと話し出す。「噂ではとんでも無い輩やとしか聞いて無いが、確かに時雨が云う通り、個人には個人の背景があって人格形成されるからな。実際、ワシも時雨が過去の話をしてくれん限りは、知り得る事の無い過去やった訳やからな」
「その辺りは、私は何とも云えないね。和さんとは比較的懇意にしていたが、過去を隠していたのは事実な訳だしね」
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