消え行く花のように
「なっ……!?」
その言葉に思わず息を詰まらせた瞬間、少女が目の前から姿を消した。
間髪いれず背後に感じた気配に、身を屈め、地を蹴り、高く跳躍してかわす。
翻ったコートの裾を何かが切り裂く感触があった。
「ふうん? こんなに簡単にかわされちゃうんだ?」
不思議そうな、だが、どこか楽しげに聞こえる声で少女はつぶやきながら、後方へ降り立った俺をゆっくり振り返る。
……その細い腕の、レースで縁取られた白い袖口から伸びた、鋭く長い剣先。
加えてたった今見せた、常人離れした動き。
(この俺が、避けきれないなど……)
切り裂かれたコートの裾を、俺は、信じられない思いで見つめた。
たかが、人間の子供に?
否――
そんなことは、ありえない……