愛してるのに愛せない
――――――――…
「もう5時か…」
外が暗くなってきたのに気付いた俺は時計を見て呟く。
俺の言葉を聞いて、彩と大輝も外を見る。
「海斗のお父さんもお母さんも帰ってこないね…」
彩が心配そうに言う。
「この家には親父も、おふくろもいないからな…」
そう言った俺は少し苦笑いをした。
彩は言ってはいけないことを言ったのかと思ったのか、手で口を覆う。
「ごめん…」
彩は申し訳なさそうに俺に謝る。
「いや、気にすんな。もうすぐ兄貴が帰ってくるし」
「お前、兄貴いたんだ!?」
大輝が驚いた表情で聞いてくる。彩は不思議そうに俺と大輝を交互に見る。
「二人は小学校からの親友じゃないの?」
彩の疑問に答えようと思ったが、俺は夕飯の支度をしなきゃならない…
今日は人数も多いしな…
「その話は飯つくってからでいいか?」
「うん…」
彩は不満そうな顔をしたが了承したので俺は夕飯の支度を始めた…