桜の咲く頃に

盲目の少女

桜は常に劣等感を抱いている少年だった。


その劣等感は歌を歌っている時でも、花を活けている時でも消えない。


「今日は四丁目の小林さんの所にこの花を持っていっておくれ」


祖母の手から渡されたのはフリージア。


香りが強く、茎が弱いので生け花には向かない花だ。


(…まぁ、置き方を変えれば何とかなるか)


桜は四丁目の小林宅へと向かった。


空が高く青い。


通り過ぎる子供達は元気に歩道を駆け抜ける。


小さな路地を少し歩くと、目的地である小林宅が見えた。


見た所普通の家だ。


細い指でインターホンを押す。


「はい、どちら様ですか?」


「遠藤です、御依頼された花を…」


「あぁ、上がってちょうだい」


桜が言い終わる前に女性は玄関を開けた。
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