秘密の授業〜あたしの青春〜



「……誰だろ」

「さあねー?まっ、唯華以上に山崎先生と仲良い生徒なんていないから大丈夫だよ!」


またアバウトな……。


「う……うん」

「次、移動教室だから行くよ!」

「あ、はーい」


次、家庭科だよね……。

あー……またあの班だ!!
ありえない。


あたしは自分の机から教科書を探す。


――――無い!


「ごめん、ちょっと先行ってて」

「えー?……わかった」


真美は若干歪んだ表情を見せて、教室から出て行った。


……教科書、持ってきたはずなんだけど。


「……教科書、無いの?」


後ろから、あたしに問いかける細くて、優しい声がした。
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