恋する心は“あなた”限定
雅お兄ちゃんの呟くような声が聞こえてきた。
「え……?」
もしかして、空守君が保健室から出て行ったところを見られちゃったの…?
その声に顔を上げようとすると、腕を掴まれて雅お兄ちゃんの胸の中に抱き寄せられる。
「俺…警戒しろって言わなかったっけ…?」
背中に回された手はしっかりと私を押さえていて、離れられそうにない。
ギュッと強く抱きしめられて、私は戸惑ってしまった。
「ま…雅お兄ちゃん?急にどうしたの!?私…急がないと試合が……」
「由優にとって、アイツは……本当にただのクラスメイト?」
耳元で囁かれて、私はビクッと肩を震わせた。