Time Machine



じわっと涙が目に浮かぶ。

悲しいわけじゃない。
だけど・・・・

純の笑顔は涙を誘う。
純のせいであたしの涙腺はおかしくなってしまったのかもしれない。


そのとき
純が箱からチョコを一粒とって

「詩音。」

振り向いたあたしの口の中に見事に入れてみせた。


口の中に甘さが広がる。

「・・・・おいし・・・・。」

「だろ??
あんまり笑ってないと美味しいもんも美味しいと感じなくなるぞ。」


「だから笑ってみ?」と子どものように笑う純にまたドキドキして・・・
あたしはそっと純を見上げた。


いつもいつも・・・・純は
あたしが笑顔になるようにさりげなく、優しく導いてくれて
あたしが感じていた「壁」を
いとも簡単に飛び越えてくるんだ・・・。





口の中にも、心にも

甘い感覚が広がっていた。






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