PRAY MACENARY
「私はね…。

順番を待っているの。」

霧野の声は、何の感情も載せないままに車内に漂っていく。

「ここに入る前も、ここに入ってからも…私と一緒にいた人は皆命を落としていった。」

純粋に過去にあった事実だけを叙述するかの様に、霧野は淡々と言葉を紡ぐ。

「私はパイロットとしても、ここの指揮官としても多くの人の死を見送ってきた。

私の身代わりになって人も、自ら死を望んで戦場に赴いた人さえもいた。

私は…戦場で、仲間の死の中で生きてきた。


だから、私だけここからいなくなることはできないの。

私はいずれ訪れる死を待っている。

私の隣の死神が私に刃を突き立てるのを…。」

霧野は消えかけた煙草に二本目の煙草を押し付けると火を移し、静かに、緩やかに煙を体内へと招き入れた。

「佐良…。

あなたは何故…戦場に?」

霧野と視線を交わすこともなく、前を向いたまま佐良は答えた。

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