僕ときみの秘密な隠れ家

デート








***




かちゃかちゃと食器の音だけが部屋に響く





さっきのことでリンはまだ機嫌が悪いらしい


食事を始めてからお互い一言も話していない





「…リン?」



「………なに?」




軽い沈黙の後の寂しい一言。


さっきはちょっと嬉しそうだったくせに…



苦笑いで僕はリンに話しかけた





「久しぶりにゆっくりできそうだから…
デートでもしよっか?」



僕の提案にリンの顔はぱぁっと明るくなる



「い、行くっ!」




さっきのことなど忘れたのか
笑顔で食事を再開した




(…子供っぽくてなんか可愛い)



リンは僕が小さく笑っているのに気づかずに食事を続けていた







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