ドラゴン・テイル

「魔法陣を貼るって…どういう事だ…?」

 魔法陣は、地面や壁……、つまり、地面に家を建てたり、壁に窓を付けたりするのと同等の物。

 それを宝玉に貼るなど、普通なら発想も出来ない程意外な事だ。

 こ……、子供だからこその成せる術……と言うか、発想なのか……?

 みんなの驚きを余所に、コパンは口を開いた。

「大きかったから…持てなかったの……」

 (…いや、そんな問題じゃないから)

 ウル、キスティン、ラーマは同時に心の中で突っ込んだ。

「すっっっげーッ!! 偉いぜコパン!」

 魔法の事は一切分からないクレイグだけが純粋に喜び、声を荒げる。

 そんなクレイグの反応に満足したコパンは、ウルから離れて小石を手にすると地面に大きな魔法陣を描き始めた。

 そんなコパンを、全員が黙って見守る。

 魔法陣を書き上げ、その縁に立ったコパンは、ウルを振り返った。

 ウルは、小さく頷く。それを見届けてから、魔法陣に手をかざした。

 ウル達を転送させた魔法陣と同じ光が産まれる。淡い、紫。

 その光が、徐々に白くなり……──。

「っうきゃッ?!」

 コパンの変な声と共に消えた。

 驚いて見ると、コパンが何かにつまみ上げられていた。

「クルセイダーッ!!」

 コパンを持ち上げている人影に、ウルは声を上げた。それは、白い鎧に身を包んだ、クルセイダーの姿だった。

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