ドラゴン・テイル

 クレイグがゆっくりと剣から手を離す。

 それを見届けた男は、コパンを抱えたまま踵を返し、静かに言った。

「ご同行願いますよ」

 一斉に、クルセイダー達がウル達に縄をかける。ラーマは翼を縛られ、口輪をつけられた。

 その様子を、コパンが蒼白な顔で見つめる。その体は、遠目に見ても分かるほど震えていた。

 ウルと目が合う。
 大きく開いた目が、さらに大きく開く。

 コパンは、ウルに向かって口をぱくぱくと動かし、首をしきりに振る。

 ─何だ……?

 ウルは、必死にコパンの動作を見た。

 コパンが視線を地面に向ける。

 そこにあるのは、先ほどコパンが描いた転送の魔法陣。

 同じように、そのコパンの動作を見ていたラーマが、動いた。

 尻尾でウルを突き飛ばす。


 魔法陣に向かって……──

「っぁ……ッ!!」

 地面に落ちた激しい衝撃に、思わず息が詰まる。

 ウルが魔法陣に落ちた瞬間、コパンは両手を魔法陣に向けた。

「! しまった!! 捕まえろ!」

 辺りに響く男の怒号と共に、魔法陣が真っ白に光った。


 ハッと顔を上げるウル。

 光の中で最後にウルが見たのは、コパンが男の剣で切られた瞬間だった……─。


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