ドラゴン・テイル
なんなんだ? 急に……。
ウルは戸惑った。
訳も分からずいきなり『退屈ですみません』と言われても、どう返していいのか分からない。
……リムレットなら絶対言わない言葉だな…。
そう思って、自嘲する。
誰を見てもリムレットと比較してしまうのは、自分の悪いところだ。
分かってはいるが、それでも何故かそうしてしまう。
それは無意識の内にリムレットを忘れないための癖として、この十年間でウルの性格に染み着いてしまったものだが、ウル当人に自覚はない。
ふいに、誰かが呼ぶ声が聞こえた気がした。
─……?
辺りに目配りしてみるが、特に変わった様子はない。強いて言えばパレードが始まって以降人の動きが激しくなったのに比例するように五月蠅くなったくらいだ。
「あっ! キスティン!」
レナが「やっと見つけた!」と言うように言った。
キスティンー!
そう言いながらレナが手を振ろうとしたまさにその時。
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