ドラゴン・テイル
─フライン─
ウルが小さく『言葉』を口にした瞬間、まるでウルだけ重力から解放されたかのように空に舞った。必然的に裏襟首を掴まれたままのクレイグは宙吊り状態となる。
「うわわわわわっ! ちょ、てめっ! ウル! どこ行くんだよ!」
クレイグの文句を無視し、ウルは上昇を続ける。
「ウルさん?! クレイグさんっ!」
「きゃーっ! 何何?!
浮いてるわよあんたたち!」
下の方からレナとキスティンの言葉も聞こえるが、これも無視。
「おいっ! ウル! 遊んでるヒマねぇんだよ! 降ろせって!」
既に、町を一望出来る高さまで上昇している。
クレイグは、出来る限り下を見ずに叫んだ。
「クレイグ、下を見てみろ」
「はぁぁ?」
「いーから、アレ見ろよ!」
強い口調で言われ、ゆっくりと視線を落とす。
そこに見えたものは……─
「……っな…んだ?! あれ……っ!」
町の真っ只中に、細長く横たわる巨大な影が見えた。
それはまるで蛇のように体をうねらせて、建物を倒そうとしている。
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