ドラゴン・テイル
金を、腰に結わえ付ける巾着型の小さな袋に入れる。
改めて、自分なりに用意した物に目を向けてみる。
ロッド、ダガー、金……。
……軽すぎだろうか……。
一瞬そんなことを思ったが、すぐに気を取り直した。
無駄に荷物が増えるよりは幾分マシだ。
腰に巾着袋を下げたまま、ウルは家を出た。とりあえず、マントと食物以外に必要な物が無いか、店を回ってみよう。
外は、先ほどの雨が嘘のように青空が広がっていた。
水溜まりと言う痕跡だけが、雨の降った事実を物語る。
ウルは、水溜まりを避けながら町の中心部に足を運んだ。
復旧作業が再開したのか、道ばたには大勢の町人が行き交っている。そんな人々を横目に、魔法アイテムを専門に取り扱う店に踏み入れた。
「いらっしゃい」
所狭しと並べられた魔法アイテムに埋もれるように作られたカウンターの奥から男の声が聞こえてきた。
ウルは数多く並べられている魔法アイテムの内の一つを手に取る。
翡翠色をした卵形のオーブ。
─……これは何に使うんだ?
見たところ、ただの卵形の置物だ。手のひらよりも少し小さい。
「それはワードアイテムだよ」
ウルの行動を目で追っていた店員の男が、まるでウルの心を読んだかのタイミングで声をかけた。
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