俺の彼女は宇宙人

告白

「は?」

俺は思わず立ち止まった。
放課後の帰り道、俺と彼女のさおりはいつものように、2人並んで歩いていた。
帰り道といっても、ドラマのような夕日がさしかかってる河原沿いではなく、臭い排気ガスを出すトラックが通っていく、ごく普通のコンクリートの道だ。
立ち止まった俺に気づいたさおりは

「だから、あたしは宇宙人なの」

と言った。
あまりにも真剣な顔つきだったので、「バカじゃねぇの?」と言っては悪いな、と思いつつも、「バカじゃねぇの?」と言った。

「お前、一昨日ので、頭イッちゃった?」

俺は、人差し指で自分の頭を叩きながら言った。
一昨日の、とは、一昨日の部活中に、さおりの頭にバッターが打ち返した球が当たったことだ。
さおりはソフトボール部に入っている。県大会まで進出するほど、それなりの活躍を見せる部活で、さおりは内野手をつとめていた。
この部活で、ボールが頭に当たるというのはよくある話だが、過保護なさおりの親は、昨日丸一日学校を休ませ、さおりを病院へつれていった。そのことを今日朝一に俺に報告しにきたさおりは、「病院へいくほどじゃないのに」と愚痴をこぼしていた。
さおりは一瞬、キッと俺をにらみ、それから「違う」と言った。

「それは関係ない」

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