シムーン

Rendezvousー夜はかつてない低温ー

バーを後にして、次に連れて行かれたところは、夜景がキレイなホテルだった。

宝石を粉々に砕いたような夜景を見下ろしながら、彼を待っていた。

ホテルに連れてかれた意味は、わかっている。

もう子供じゃないんだから。

そう思っていたら、窓ガラスに風呂あがりの彼の姿が映った。

その姿に、私の心臓がドキッ…と鳴った。

濡れた髪。

眼鏡のない瞳。

バスローブの隙間から覗く引き締まった胸。

全てが全て、ドキッとする。

窓ガラスの彼を見つめていたら、後ろから抱きしめられた。

「――ちょっと、待って…」

突然抱きしめられて、私はパニックになる。
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