シムーン
「美味しい…」

口に入れたのと同時に、その言葉が出た。

甘いアイスさらに甘く感じた。

「俺にも1ついい?」

勇が言った。

「いいよ」

アイスをすくって、彼の前に差し出した。

しかし、彼はスプーンを通り過ぎた。

えっ…?

そう思ったのと同時に、唇が塞がれた。

一瞬、何が起こったのかわからなかった。

でも感じたのは、彼の唇だ。

チュッ…と、音がしたかと思ったら、唇が離れた。

「――甘いな…」

キスしたばかりの唇を指でなぞりながら、彼が言った。
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