アリィ
ひどい、なんてひどいこと。
ちょっと浮いた存在ではあったけれど、それでもまっとうに生きていたアリィをあんなふうに変えてしまうなんて、カナエ達は悪魔だ、化け物だ。
どうやったら助けられるだろう。
散々手を伸ばしたのに届かなかったここ数日のことを考えると、ただ声をかけるだけじゃだめだ。
見向きもされないで終わるのが目に見えている。
ほんとにひどい。
アリィはいつも、たまにふて腐れることはあっても、よく笑っていたのに。
あんなに『ギャル』にあこがれていたというのに、『ギャル』になってからのアリィは、まったく嬉しそうじゃない。
今日だって、みんなで同じブレスレットをつけて、ソウルなんとかだと言っていたときも、アリィはうつむいていたじゃないか。
『親友の証』を投げ捨てたのだって、ミオに耳打ちされたからだ。
あれは命令だ。
カナエ達に逆らえる人間なんてそうはいないんだから、従うしかなかったんだ。
可哀想なアリィ。
本当は私と一緒にいたいに違いないのに。
心にもないことを言わされて、どんなにつらかっただろう。
アリィを助けるには、カナエ達をどうにかしなければならない。
あのロールパンを耳の横にぶら下げたみたいな金髪、
周囲を真っ黒に塗りたくって本物の瞳が行方不明になっている目、
パンツが見えそうなほど短いバカみたいなスカート、
それらを武器に社会の秩序を乱す悪しき存在から、アリィを救い出すには、どうすれば。
私は同じ場所をぐるぐると行ったり来たりしながら、必死に頭を回転させる。
いらいらする、あんな頭の悪い連中にいいようにされていることが。
私のほうが頭はいいし、精神的にも発達しているし、アリィのことを思っているというのに。