アリィ


夏休みまであと数日にせまり、浮かれモードだった我がクラスを襲った災難……クーラーが壊れてしまった。


利きが悪くなり、常に最低温度に設定されていたオンボロは昨日、

虫が飛んでいるような耳障りな声で数分鳴いたあと、突然砕けた音をたてて事切れてしまった。


「ふざけんな」


「てめぇ、壊れてんじゃねぇぞ」


今まで散々こき使われて、それでも必死に使命をまっとうしようとして力尽きた彼に対して、みんなは容赦なく暴言を吐く。


労ってあげようよ。


人知れず働くものに対して、最近特に自分を重ねてしまい、かばわずにはいられない。


悪いのはこのクーラーではなく、彼の跡継ぎの購入を渋っている学校側だ。


しかし、そんな寛大な私にも暑さは平等。


窓は全開なのに、気温と若い熱気がこもった室内はもはやサウナ状態。


休み時間だというのに誰もが遊ぶこともおしゃべりも忘れ、噴き出る汗にまみれて溶けたようにうなだれている。


「あついあついー……」


分かった。


分かったから静かにしてくれ。


額に貼りつく前髪をすくい上げてアリィをにらむと。


「痛っ……」

< 56 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop