アリィ
それから、さっそく私の宿題を書き写し始めた二人。
二人とは誰と誰か。
アリィと、私だ。
小さなテーブルに向き合って、狭いスペースを分け合って。
アリィの宿題をやっている、私。
どうして私が。
「アリィ、こんないっぱい一人でできないもん。手伝ってよ」
なんのためらいもなくこんな図々しいことが言えるなんて、礼節を重んじる慎ましやかな日本人とは思えない。
むしろ人間とさえ思えない。
宇宙人だ。
いや、ぶしつけに地球を侵略してきたなんて聞いたことがないから、まだ宇宙人のほうが良心的だと思われる。
アリィは特異な謎の生命体なのかもしれない。
そんなことを考えながら、黙々と漢字の書き取りをしている私。
沈黙の中、エアコンの稼動する音だけが耳鳴りのように響いている……
のも、長くは続かなかった。
「ゆっぴー、どっか遊びに行こう?」
「は?」
始めて十分も経っていないのに、もう飽きてしまったらしい。
というか、そもそも誰のためにこんなことしていると思ってるんだ。
「駄目に決まってるでしょ。まだひとつも終わってないのに」