まーくんの部屋




つかつかと近づいてきたまーくんは、私にまたがるようにベットに乗って、両手で私の頬を包んだ。

大きな手はごつごつしていて、触り方も少し荒っぽい。


ちらっとまーくんの顔を見て、表情を確認する。

切なそうな、ちょっとほてった顔をしてる。


かわいい。

でも、だめだよ。

近づいたら、移っちゃう。


「チカ、お願い。

もう一回、俺の方見て。」


「やだ…」


「やだじゃない、ね、お願いだから」


まーくんのおでこが私のおでこにくっつく。


「向こう… 行ってよぉ…」


「チカ、キスしたい」


何言ってるの、この人。

キスなんかしたら、絶対に移っちゃう。


「ね、こっち見て。

チカの上目づかい、最高にかわいい」


「やだぁ…」


もうまーくんの目は私の目のすぐ前まで来ていて、まーくんがしゃべると熱い息がかかる。

熱くて、熱くて。

まーくんが興奮してるのが分かる。


「口開けて、チカ」


「いや…」


「嫌じゃないでしょ。ほら、あーんして」


まーくんの、甘い、甘い誘惑。



「まーくん…」


『ん』の形のまま、口を開く。

そしてもう一度、上目づかいでまーくんの目を見た。



「チカのそういうところ、ホントにかわいいよ」






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